四季の変化と子ども遊びをテーマにした４枚揃だが、髪形や衣装など、ファッション情報も十分盛り込んである。

正月のしめ縄の下で、少女が羽根つき、鞠つきをしている。羽根（羽子）は、ムクロジの種に小鳥の羽根をさしたもので、ここでは４枚羽根が左上に描かれている。鞠は後ろの少女が胸にだいている。この子は、大きな茶せん髪で前髪を緋縮緬のリボンで結び、折り鶴文様の晴れ着に鹿子絞りの赤い半襟である。前の少女は針打ち島田で、梅丸文様の晴れ着、胸元のひだ飾りと袖口の止め具はともに黄色でアクセントになっている。

子どもの四季遊びとファッション

・貞広は国貞の門人で役者絵を得意としたが、この作品では各季節ごとに子ども二人にしぼり、躍動感あるポーズにまとめている。
・季節感や行事も単純化して象徴的に描き、背景は省略、子どもが強調されている。これは国芳の「雅遊五節句」とも共通する手法である。
・なお、春夏秋冬といっても旧暦では現在より１月ちょっと後になる。そして春は１～３月、夏は４～６月、秋は７～９月、冬は１０～１２月であった。