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昔噺舌切雀
ムカシバナシシタキリスズメ
作者名
芳盛 (歌川 芳盛)
作者名ヨミ
ヨシモリ (ウタガワ ヨシモリ)
代表明細・シリーズ名称
昔噺舌切雀
落款等備考
芳盛画
制作者備考
印章等
印章注記
時代区分
元治元年
西暦
1864
形態
大判
種別1
木版浮世絵
種別2
錦絵
種別3
内容1
子ども 物語絵
内容2
昔話 おとぎ話 風刺画 舌切り雀
内容3
つづら 化け物 妖怪 爺 婆
追加情報
テーマ
具体物
位置付け
画中の文字・文章
備考
「昔噺舌切雀」は昔話の代表的な物語であるが、地方や時代によってストーリーの展開には違いがある。ただ、最後は、親切な爺さんが雀にもらった軽い葛籠(つづら)からは宝物が出る。一方、欲深い婆さんのもらった重い葛籠からは妖怪が現れて婆を襲う。動物愛護と勧善懲悪の話である。
右の爺さんが開けた黒い葛籠からは、雀の兵士たちが次々と跳び出している。左の婆さんが開けた眼のある黒い葛籠からは、妖怪たちが次々と現われ、葛籠の紐も蛇となって婆さんに襲いかかり、婆さんは腰を抜かしている。画面の上部では、婆さんの葛籠から出た一つ目小僧、三つ目入道などの化け物・妖怪を兵士や火消しの姿をした雀が退治している。さらに、宝珠・分銅・隠れ蓑・七宝・打出の小槌・隠れ笠など宝尽くしや、火消組のまとい・梯子(はしご)、それに稲荷社の幟も見られる。
これも「猿蟹敵討之図」と同様に、単に昔話の場面でなく、当時の世相を反映したものと思われ、今後さらに研究が必要である。
この作品が制作された元治元年は、第一次長州戦争や四国艦隊の下関攻撃のあった年であり、単なる昔話の絵でなく、時局風刺画の可能性がある。黒い葛籠が黒船の象徴ともとれ、黒船来航と開国による混乱を風刺しているかも知れない。中央右上部に、顔が橘紋の兵士もいるが、この紋は井伊家のものである。
江戸の風刺画は、駒澤大の南和男教授がご専門だが、この作品はまだ取り上げていない。
この図は国立国会図書館にもあるが、刷色のみでなく絵柄も部分的に異なっており、別版である。
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