歌麿は数多くの金太郎絵を残したが、最大の特色は美しい山姥を取り入れ、一種の美人画にした点である。この作品は、金太郎を三人兄弟に仕立て、山姥と正月を楽しむ三枚組にしてあり、機知に富んだ揃物になっている。

三人兄弟の惣領で母（山姥）と臼をはさんで杵を打ち、正月用の餅をついている。長男だけは髪も伸び、中剃りをして、髷も結い、前髪は赤い切れで結んである。首に巻いた白い手拭いで、赤い体を強調している。美しい母は、長い髪を結わずに、たらしたままだ。右後方には糯米を蒸すせいろが見えている。

美しい山姥と金太郎を数多く残した歌麿の金太郎絵でも、異色の三枚揃。公文以外に、三枚揃って所蔵している所は知られていない。